□今回私は2週間虹の学校でお世話になりました。学校に到着した翌日に大工さんたちがちょうど魚を獲りに森に入るということで、当初の予定にはありませんでしたが武士さんと一緒に急遽3泊4日の「森合宿」へ。森から学校に戻ってきてからはすぐに3日間の大運動会。大晦日と元旦にはサンカブリーの町で子供たちとストリートライブするなど本当に怒涛の毎日でしたが、とてつもなく充実した日々を送ることができました。その時の様子や感想をまとめました。 【森合宿と大工さんたち】早朝にチュレの村を出発して森合宿へ。持ち物は米、ハンモック、鉈、ヘッドライトという最低限の必要道具のみという軽装です。軽いハイキング気分も束の間、急な登り下りで途中何度も尻モチをつくようなそれなりに険しい山道。ペースを合わせてくれたりこまめに休憩を挟んでくれたりという大工さんたちの優しさもあって、4時間ほどかけてなんとか山を越えました。ちなみにスタスタ足早に歩く大工さんの足元は普通のビーチサンダルでした。たどり着いた河原が今回の森合宿の拠点です。まずは寝床となるハンモックを設営した後、休むことなく川に入って漁をします。モリを持って川に潜って魚を刺す、というスタイルの漁です。テレビで見かける、獲ったどー!とやっているアレです。潜れど潜れど魚を捕まえるどころか魚に出会うことすらできない自分を尻目に、大工さんたちは次から次へと魚を捕まえていきます。ほんの30分ほどで数十匹の魚の山が出来上がっていました。ちなみに夜の真っ暗闇の中でもヘッドライトをつけて川に潜ります。夜の方が魚が眠っていて捕まえやすいらしく、昼以上のペースで捕獲しました。(もちろん全部大工さんが)結局4日間通じて自分では一度も捕まえることができずという悔しい結果で終了。大工さんは一人当たり100匹は軽く超えていたと思います。大工さん(と濱口優)恐るべし。それ以外にも大工さんたちは板前さんばりに素早くきれいに魚を捌いたり、あたりに生えている竹を様々な用途(湯沸かし器、魚の燻製台、湯呑み、皿などなど)に器用に切ったり割ったり、足に切り傷ができたときもその辺の植物を使って止血したり、シンプルに生きる能力が凄まじく高い。この環境に一人放置されたらおそらく数日で死んでしまうであろう自分と、いくらでも生き長らえることができる大工さん。生物学的なオスとしての絶対的な能力差を見せつけられたような気がして、少し悔しかったです。 ↗︎ 【通訳玄壮】もう一つ触れておきたいのが、今回の森合宿のキーパーソン!と言うよりもはや命綱!それが、とこ先生のご長男・玄壮です。まだ小学校に上がる前の6歳児ですが日本語とタイ語の両方をネイティブとして操ります。大工さんたちとの通訳係も兼ねて今回の森合宿に同行してくれました。片道4時間の山を越えるというのに靴はおろかサンダルすら履いていません。足の裏どうなってんだ。とてもおしゃべり好きで歩いている間もずっとしゃべりながら楽しませてくれます。道中の虫や植物にも興味津々。ようやく河原に到着するやいなやスッポンポンになってモリを持って川に潜っていました。慣れない通訳の仕事でも大活躍。玄壮のおかげで大工さんたちとのコミュニケーションも困ることなく、すぐに仲良くなることできました。こんなスーパー6歳児にはなかなかお目にかかれません。2日目にホームシックでずっと大泣きしているのを見て、普通の6歳児なんだと何だか安心したくらいです。このまま逞しくて優しい男に育ってもらいたい。がんばれ玄壮。 【森の中での生活】当たり前ですが、森の中には街灯はなく日が沈めばすぐに文字通りの暗闇になります。電波もないのでスマホも使えません。トイレもないのでそのあたりで適当に用を足します。シャワーもないので川で水浴びをします。寝床はハンモックなので寝心地が良いとは言えません。ご飯は持参した米以外ひたすらその場で調達した魚と野菜です。普段の東京での生活とは真逆の環境に初日はだいぶ戸惑いもありましたが、不思議なことに2日目からは確実に自分自身がその環境に慣れ始めているのを感じていました。少なくとも「不便さ」にストレスを感じる場面はほぼなくなり、自分の五感も徐々に研ぎ澄まされていく気がしました。川に潜って魚を探して、獲れたての魚を焼いて食べて、夜は焚き火で暖をとりながら星空を眺めてハンモックで眠る、そうした一つ一つの行動が日々心地よくなっていくような感覚がありました。しまいに最終日には「まだもうしばらく森にいたい」と思うまでになっていました。普段はあまり意識していなくても、自分の生活を充実させてもっと幸せになるために何かモノやステータスを欲しがったり効率性や便利さを求めたりする部分が、自分だけでなく多くの人にあるのではないかと思います。僕はこれまでほぼ無意識的にその価値観の中で生活してきましたが、余計なものが一切なくシンプルに「地球と自分」という環境のこの森合宿を通じて、その価値観を大きく揺さぶられるような体験ができた気がしています。「何もないけど全部ある」森合宿に勝手にキャッチフレーズをつけるとするとこんな感じです!特に普段日本に暮らしている人にはぜひ森合宿参加をおすすめしたいです。(帰国して早々、友達にはおすすめしまくっています) 【運動会】森から学校に戻って一休みすると、今度は3日間に及ぶ大運動会の始まりです。学校の子供たちだけでなく地域の子供や大人も参加するまさに一大イベントです。マラソンを皮切りに、綱引きや玉入れのような日本の伝統種目からセパタクロー・サバー・ペタンクといったタイならではの種目まで、黄色組と緑組に分かれて全競技での合計点を競います。ちなみに緑組になった私はサバーでの活躍(完全にビギナーズラック)で気をよくしていたところ、そのあとの100m走で肉離れを起こすという醜態を晒しました。緑組の皆様、ご迷惑おかけ致しました。一番のクライマックスは最終日の最終種目、応援合戦です。黄色組はダンサー武士さん仕込みのチアリーディングです。練習から覗き見していましたが、とてつもなくクオリティが高い。武士さんの構成力や指導力もさることながら、あの短期間でこれだけの振り付けを覚えて完璧にこなす子供たちも本当にすごい。一方ジュジュくん率いる緑組は同じ路線では勝てないと判断し、ふんどしでの応援団スタイルという全く違う土俵での勝負に持ち込む作戦に出ました。結果、緑組も奮闘しましたが黄色組の勝利。緑組の太鼓係として参加していた僕も、黄色組の出来栄えを見たら結果には納得せざるを得ません。でも、嬉しそうにふんどし履いて側転する子供たちが可愛すぎてツボだったので、個人的には緑組の勝利ということにします。そして閉会式の最後には、全員とハグをして健闘を称え合いました。炎天下の中での3日間の長丁場ということもあり、一つの修行を一緒に乗り越えたかのような同志感と達成感もあいまって、ハグをするときはなんとも表現しがたい感動がありました。この運動会は子供と大人が一緒に作り上げた素晴らしいイベントでした。特に先生方の活躍が印象的で、裏方としての準備や審判などのサポートをするだけでなく、子供が競技をしている間は率先して応援を盛り上げ、自分が出場するときは子供たちよりも本気で勝負していました。子供たちだけでなく先生も含めたチームワークの良さのようなものを、虹の学校では感じました。 ↗︎ 【ミュージカル】 運動会のプログラムとは別に、子供たちによるオリジナルのミュージカルも披露してもらいました。 初のお披露目ということでぎこちない部分もありながら、自然の舞台を最大限に活かし、子供たちがそれぞれの役を一生懸命に演じていました。 本当に目を奪われるほどの圧巻のダンスや小さい子供たちの可愛らしい踊りなど、ストーリーだけでなく全体の構成もメリハリが効いていて最初から最後までがあっという間に感じました。 何よりも驚くべきは全編日本語だったこと。なかなか難しい言い回しもたくさんあって、日本語ネイティブの自分ですら覚えるのは大変そうと思うセリフまでしっかり覚えて演じ切っていました。 ミュージカルの出来自体もさることながら、何よりも子供たちの努力の跡が痛いくらいに感じられました。日本から遠く離れた場所で、タイの子供たちがこんなに素晴らしい日本語のミュージカルを一生懸命に作り上げているということにただただ感動させられました。みんながいたのでこらえましたが、周りに誰もいなかったら確実に泣いてました。(書きながら思い出してウルウルしてます) きっと子供たちはこれからもっともっとこのミュージカルをブラッシュアップしていくと思うので、また次に観せてもらう機会が楽しみです。 【最後に】 子供たちはとても人懐っこい子が多く、見知らぬ僕にも最初からどんどん話しかけてきてくれました。行く前には少し不安な部分もありましたが、子供たちに助けてもらってあっという間に馴染むことができました。一人一人のキャラクターが分かってくるにつれてコミュニケーションをとるのもどんどん楽しくなっていき、日本に戻ってきた今ではみんなに会えないことがとても寂しいです。 一方で、ダンスやバイオリンなど多才な武士さんたちとは違って、ボランティアとは言っても子供たちと遊ぶことくらいしかできない自分に少しもどかしい思いもありました。今回はずっと子供たちに与えてもらってばかりだったので、次は子供たちに何かお返しできるように自分のできることについて考えていきたいなと思いました。 とこ先生はじめとした学校の先生方、ゆうすけさん、同じタイミングでいらしていたボランティアの方々、おかげさまで言葉では伝えきれないくらいの貴重な経験をさせていただきました。本当にありがとうございました。是非またお邪魔させていただければと思います。 瑛淳 追伸 日本に戻ってから重度の虹の学校ロスにみまわれ、帰国3日後には年末のバンコク行きのフライトを予約してました。 ・益子歩鞠さんの感想・厚東芳樹さんの感想・井ノ上すみれさんの感想・松本武士さんの感想
□今回私は2週間虹の学校でお世話になりました。
学校に到着した翌日に大工さんたちがちょうど魚を獲りに森に入るということで、当初の予定にはありませんでしたが武士さんと一緒に急遽3泊4日の「森合宿」へ。森から学校に戻ってきてからはすぐに3日間の大運動会。大晦日と元旦にはサンカブリーの町で子供たちとストリートライブするなど本当に怒涛の毎日でしたが、とてつもなく充実した日々を送ることができました。その時の様子や感想をまとめました。
【森合宿と大工さんたち】
早朝にチュレの村を出発して森合宿へ。持ち物は米、ハンモック、鉈、ヘッドライトという最低限の必要道具のみという軽装です。
軽いハイキング気分も束の間、急な登り下りで途中何度も尻モチをつくようなそれなりに険しい山道。ペースを合わせてくれたりこまめに休憩を挟んでくれたりという大工さんたちの優しさもあって、4時間ほどかけてなんとか山を越えました。ちなみにスタスタ足早に歩く大工さんの足元は普通のビーチサンダルでした。
たどり着いた河原が今回の森合宿の拠点です。まずは寝床となるハンモックを設営した後、休むことなく川に入って漁をします。モリを持って川に潜って魚を刺す、というスタイルの漁です。テレビで見かける、獲ったどー!とやっているアレです。
潜れど潜れど魚を捕まえるどころか魚に出会うことすらできない自分を尻目に、大工さんたちは次から次へと魚を捕まえていきます。ほんの30分ほどで数十匹の魚の山が出来上がっていました。
ちなみに夜の真っ暗闇の中でもヘッドライトをつけて川に潜ります。夜の方が魚が眠っていて捕まえやすいらしく、昼以上のペースで捕獲しました。(もちろん全部大工さんが)
結局4日間通じて自分では一度も捕まえることができずという悔しい結果で終了。大工さんは一人当たり100匹は軽く超えていたと思います。大工さん(と濱口優)恐るべし。
それ以外にも大工さんたちは板前さんばりに素早くきれいに魚を捌いたり、あたりに生えている竹を様々な用途(湯沸かし器、魚の燻製台、湯呑み、皿などなど)に器用に切ったり割ったり、足に切り傷ができたときもその辺の植物を使って止血したり、シンプルに生きる能力が凄まじく高い。この環境に一人放置されたらおそらく数日で死んでしまうであろう自分と、いくらでも生き長らえることができる大工さん。生物学的なオスとしての絶対的な能力差を見せつけられたような気がして、少し悔しかったです。
↗︎
【通訳玄壮】
もう一つ触れておきたいのが、今回の森合宿のキーパーソン!と言うよりもはや命綱!
それが、とこ先生のご長男・玄壮です。まだ小学校に上がる前の6歳児ですが日本語とタイ語の両方をネイティブとして操ります。大工さんたちとの通訳係も兼ねて今回の森合宿に同行してくれました。
片道4時間の山を越えるというのに靴はおろかサンダルすら履いていません。足の裏どうなってんだ。
とてもおしゃべり好きで歩いている間もずっとしゃべりながら楽しませてくれます。
道中の虫や植物にも興味津々。ようやく河原に到着するやいなやスッポンポンになってモリを持って川に潜っていました。
慣れない通訳の仕事でも大活躍。玄壮のおかげで大工さんたちとのコミュニケーションも困ることなく、すぐに仲良くなることできました。
こんなスーパー6歳児にはなかなかお目にかかれません。
2日目にホームシックでずっと大泣きしているのを見て、普通の6歳児なんだと何だか安心したくらいです。
このまま逞しくて優しい男に育ってもらいたい。がんばれ玄壮。
【森の中での生活】
当たり前ですが、森の中には街灯はなく日が沈めばすぐに文字通りの暗闇になります。電波もないのでスマホも使えません。トイレもないのでそのあたりで適当に用を足します。シャワーもないので川で水浴びをします。寝床はハンモックなので寝心地が良いとは言えません。ご飯は持参した米以外ひたすらその場で調達した魚と野菜です。
普段の東京での生活とは真逆の環境に初日はだいぶ戸惑いもありましたが、不思議なことに2日目からは確実に自分自身がその環境に慣れ始めているのを感じていました。少なくとも「不便さ」にストレスを感じる場面はほぼなくなり、自分の五感も徐々に研ぎ澄まされていく気がしました。川に潜って魚を探して、獲れたての魚を焼いて食べて、夜は焚き火で暖をとりながら星空を眺めてハンモックで眠る、そうした一つ一つの行動が日々心地よくなっていくような感覚がありました。しまいに最終日には「まだもうしばらく森にいたい」と思うまでになっていました。
普段はあまり意識していなくても、自分の生活を充実させてもっと幸せになるために何かモノやステータスを欲しがったり効率性や便利さを求めたりする部分が、自分だけでなく多くの人にあるのではないかと思います。僕はこれまでほぼ無意識的にその価値観の中で生活してきましたが、余計なものが一切なくシンプルに「地球と自分」という環境のこの森合宿を通じて、その価値観を大きく揺さぶられるような体験ができた気がしています。
「何もないけど全部ある」
森合宿に勝手にキャッチフレーズをつけるとするとこんな感じです!
特に普段日本に暮らしている人にはぜひ森合宿参加をおすすめしたいです。
(帰国して早々、友達にはおすすめしまくっています)
【運動会】
森から学校に戻って一休みすると、今度は3日間に及ぶ大運動会の始まりです。学校の子供たちだけでなく地域の子供や大人も参加するまさに一大イベントです。マラソンを皮切りに、綱引きや玉入れのような日本の伝統種目からセパタクロー・サバー・ペタンクといったタイならではの種目まで、黄色組と緑組に分かれて全競技での合計点を競います。
ちなみに緑組になった私はサバーでの活躍(完全にビギナーズラック)で気をよくしていたところ、そのあとの100m走で肉離れを起こすという醜態を晒しました。緑組の皆様、ご迷惑おかけ致しました。
一番のクライマックスは最終日の最終種目、応援合戦です。
黄色組はダンサー武士さん仕込みのチアリーディングです。練習から覗き見していましたが、とてつもなくクオリティが高い。武士さんの構成力や指導力もさることながら、あの短期間でこれだけの振り付けを覚えて完璧にこなす子供たちも本当にすごい。
一方ジュジュくん率いる緑組は同じ路線では勝てないと判断し、ふんどしでの応援団スタイルという全く違う土俵での勝負に持ち込む作戦に出ました。
結果、緑組も奮闘しましたが黄色組の勝利。
緑組の太鼓係として参加していた僕も、黄色組の出来栄えを見たら結果には納得せざるを得ません。
でも、嬉しそうにふんどし履いて側転する子供たちが可愛すぎてツボだったので、個人的には緑組の勝利ということにします。
そして閉会式の最後には、全員とハグをして健闘を称え合いました。炎天下の中での3日間の長丁場ということもあり、一つの修行を一緒に乗り越えたかのような同志感と達成感もあいまって、ハグをするときはなんとも表現しがたい感動がありました。
この運動会は子供と大人が一緒に作り上げた素晴らしいイベントでした。特に先生方の活躍が印象的で、裏方としての準備や審判などのサポートをするだけでなく、子供が競技をしている間は率先して応援を盛り上げ、自分が出場するときは子供たちよりも本気で勝負していました。子供たちだけでなく先生も含めたチームワークの良さのようなものを、虹の学校では感じました。
↗︎
【ミュージカル】
運動会のプログラムとは別に、子供たちによるオリジナルのミュージカルも披露してもらいました。
初のお披露目ということでぎこちない部分もありながら、自然の舞台を最大限に活かし、子供たちがそれぞれの役を一生懸命に演じていました。
本当に目を奪われるほどの圧巻のダンスや小さい子供たちの可愛らしい踊りなど、ストーリーだけでなく全体の構成もメリハリが効いていて最初から最後までがあっという間に感じました。
何よりも驚くべきは全編日本語だったこと。なかなか難しい言い回しもたくさんあって、日本語ネイティブの自分ですら覚えるのは大変そうと思うセリフまでしっかり覚えて演じ切っていました。
ミュージカルの出来自体もさることながら、何よりも子供たちの努力の跡が痛いくらいに感じられました。日本から遠く離れた場所で、タイの子供たちがこんなに素晴らしい日本語のミュージカルを一生懸命に作り上げているということにただただ感動させられました。みんながいたのでこらえましたが、周りに誰もいなかったら確実に泣いてました。(書きながら思い出してウルウルしてます)
きっと子供たちはこれからもっともっとこのミュージカルをブラッシュアップしていくと思うので、また次に観せてもらう機会が楽しみです。
・益子歩鞠さんの感想
・厚東芳樹さんの感想
・井ノ上すみれさんの感想
・松本武士さんの感想